倉庫を契約する方法には2種類あり、一つは賃貸借契約、もう一つは寄託(きたく)契約です。物流業などで荷物の保管が必要となった時、倉庫の契約を考えると思いますが、契約する際には利用目的や利用期間などに応じて検討する必要があります。賃貸借契約はマンションなどの契約でもよく耳にするのでどのようなものか理解している方も多いでしょう。一方で寄託契約はあまり馴染みのない言葉かもしれません。そこで今回は、倉庫の賃貸借契約と寄託契約についてご紹介します。
倉庫の賃貸借契約と寄託契約
賃貸借契約と寄託契約とはそれぞれどのような契約のことをいうのでしょうか。倉庫の契約を考えた時にはその違いを理解しておくことが大切です。
賃貸借契約とは
倉庫の賃貸借契約とは、倉庫を所有している貸主と賃貸契約を結んで倉庫を借りることです。契約としては、賃貸マンション・アパートなどを借りるときと同じイメージです。倉庫を借りる場合、建物全体(倉庫一棟)を借りることもあれば、倉庫の中の一部を借りることもありますが、どちらの場合にしても賃貸借契約では、借りているのはあくまでもスペースです。したがって、倉庫の中の荷物や保管は自社で行うことになります。また庫内作業を外部の業者に委託するケースもありますが、それらも自社の管理のもと行うことになります。
賃貸借契約にすることのメリットは、倉庫(スペース)を契約の範囲内で自由に使えるということです。また毎月決まった賃料を支払うことになるので、支出の変動がほとんどないこともメリットといえるでしょう。
一方でデメリットとしては、荷物の保管・管理は自社で行わなければならず、外部に委託する場合にも別途費用がかかるので、保管・管理に伴う手間や費用などが挙げられます。
寄託契約とは
寄託契約とは、営業倉庫を運営者である倉庫業者と寄託契約を結び、営業倉庫を利用することです。賃貸借契約ではそのスペースを借りていることに対して賃借料を支払いますが、寄託契約では荷物の保管料として費用を支払います。そのため、倉庫を借りたうえで荷物を預かってもらえる(保管)のが寄託契約なのです。なお別料金を支払うことで商品の梱包やピッキング、入出庫などの作業も依頼できる場合があります。
したがって、賃貸借契約と寄託契約は、倉庫を借りたうえで荷物の保管・管理を自社で行うか、倉庫業者に行ってもらえるか、といった違いがあります。
寄託契約にすることのメリットは、荷物の保管・管理を任せられることです。また荷物の量が少なくても利用できることもメリットです。荷物の量が時期によって変動するような場合も状況に応じて利用できます。
寄託契約のデメリットとしては、寄託契約ができる倉庫は営業倉庫のみであること、梱包やピッキングなども依頼する場合は別料金となることなどが挙げられます。
なお、営業倉庫については以下で説明します。
営業倉庫とは
営業倉庫とは、倉庫業を運営・営業するにあたって、倉庫業法という法律に従って国土交通大臣の登録を受けている倉庫のことです。営業倉庫として運営・営業するためには、様々な厳しい基準を満たしている必要があります。例えば、建築基準も一般の建物よりも厳しく、防火性、外壁・床の強度といったことも営業倉庫を運営・営業するための基準が定められています。
上述の通り、寄託契約は営業倉庫以外の倉庫において締結することはできません。しかし、倉庫業者の中には営業倉庫の登録を受けていないにもかかわらず、無許可・無登録で営業倉庫としている悪質な業者もいることがあるので、契約を検討する際には必ず確認するようにしましょう。
倉庫の賃貸借契約と寄託契約どちらが適しているか?
倉庫における賃貸借契約と寄託契約の違いをご紹介しましたが、実際契約を検討する際にはどちらにすべきか悩むこともあるかもしれません。どちらが適しているかは、倉庫を利用する目的や期間などによって変わってきます。
倉庫の利用期間
倉庫の利用期間が長い場合は、賃貸借契約で倉庫を借りることが適しているケースが多いでしょう。賃貸借契約の契約期間は3〜5年となっていることが多く、ある程度長期の利用が前提となっているためです。
賃貸借契約が長期利用が想定されていることに対して、寄託契約は短期で区切った料金設定になっているため、荷物の量に応じて利用しやすいことはもちろんですが短期間で倉庫を利用したいという場合にも向いています。
倉庫の目的
大量の荷物を広いスペースを借りて保管したい場合、倉庫のレイアウトを自由に決めたい場合、荷物の保管・管理のために導入したい設備などがある場合などは賃貸借契約が向いているでしょう。倉庫を一棟全て、または一部など広いスペースを借りられるのは賃貸借契約の魅力です。また荷物の種類や量など自社に必要な環境に合わせてレイアウトを決めて保管できるのも賃貸倉庫です。さらに賃貸なら荷物の入出庫も自由にできます。ただし、解約時にはレイアウトなど原状回復する必要があることは覚えておきましょう。
倉庫を利用する目的として、少ない荷物を一時的に預けたい、大切な荷物を安心して預けたいという場合には寄託契約が適しているといえるでしょう。寄託契約で利用できる営業倉庫は、荷物の保管・管理を行ってくれることはもちろん、営業倉庫は厳しい基準を満たしているので安心して依頼できることが魅力です。営業倉庫の場合は火災保険にも必ず加入しているため、万が一倉庫(荷物)が火災にあった場合にも補償を受けられます。
賃貸借契約する場合に確認すべきこと
倉庫を賃貸借契約で借りる場合には、契約前に以下の点を確認しておきましょう。
保証金と権利金
倉庫の賃貸借契約を結ぶ際には、保証金と権利金という2つが出てきます。
保証金とは、マンションやアパートなどの賃貸住宅を借りる際の敷金にあたります。そのため保証金は解約時の原状回復費や賃料が未払いになった場合の担保として支払います。保証金は解約時に原状回復費などを差し引いてから借主に返還されます。
一方権利金とは、賃貸住宅を借りる際の礼金にあたります。これは貸主に対する謝礼として借主が支払うものです。そのため、解約時にも返還されません。この点は契約前に把握しておくようにしましょう。
契約期間、更新、解約予告期間
契約期間、更新、解約予告期間は事前に必ず確認しておく必要があります。いずれも物件(倉庫)によって定められている期間が異なります。契約については、普通借家契約と定期借家契約があり、普通借家契約は契約期間が過ぎると原則として自動的に更新となります。定期借家は契約期間が満了となれば原則、更新はされません。
また解約したいと思っても、すぐに解約できるわけではなく解約予告期間を経て解約しなければなりません。解約予告期間は、3〜6ヶ月前に設定されていることが多く、マンションやアパートなどの賃貸住宅の解約予告期間よりも早く申し出なければならないので、注意が必要です。
解約時の違約金
契約期間の満了前に解約する場合、違約金が発生することがあります。違約金の規定も契約書で定められているため、事前に確認しておくようにしましょう。
倉庫を探す時のポイント
最後に倉庫を探す時のポイントについてご紹介します。
倉庫の使用用途と周辺環境
まずは倉庫の使用用途を明確にする必要があります。そのうえで、周辺環境を必ず確認することが大切です。例えば、物流の配送センターとして使う場合には、幹線道路の近くか、大型のトラックが通れる道の近くか、また倉庫の駐車場は十分かといったことを確認しておきましょう。
利用目的と条件の優先順位をつける
倉庫を利用する目的、倉庫に保管する荷物によって、必要な電気の容量や天井の高さなどが変わってきます。また賃料などのほか、築年数や立地、設備、周辺の環境など様々な条件があります。全ての条件に合う倉庫が見つかることが1番良いですが、倉庫の需要が高いエリアでは見つかりにくいことも考えられます。見つけられた場合でも賃料が高い可能性もあるでしょう。
そのため、倉庫を利用するにあたってどの条件を優先させるかを検討することが大切になってきます。倉庫の需要が高いエリアかつ条件の良い物件は競争率も高くなるため、気になる物件を見つけたら早めに問い合わせすることも大切です。
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松本産業株式会社が運営する『あいちの工場倉庫ならデポラボ』では愛知県内の工場や倉庫を専門として不動産事業を展開しております。長年愛知県豊田市を中心に地域密着の企業として様々な事業に携わって参りました。これまで培った独自のネットワークを最大限活かし工場や倉庫などの事業用・産業用不動産案件の課題解決を図ることで地域経済の更なる発展に貢献して参りたい、そのように考えております。不動産のことでお困りの際はいつでもご相談ください。
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