市街化調整区域の不動産は売却が難しい、ということを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。市街化調整区域の土地・倉庫・住宅などの不動産を持っている場合、売却して手放すのか、あるいは何かしらの方法で活用するのか悩むこともあるでしょう。そこで今回は、売却したい不動産が市街化調整区域だった場合にどのような影響があるのか、どのようなケースなら売却しやすいのかといったことをご紹介します。
市街化調整区域とは?市街化区域との違い
市街化調整区域は、市街化することを抑制するという区域で、街づくりをする予定がない区域ということです。
反対に、市街化を積極的に進める区域のことを市街化区域といいます。具体的には、すでに市街化している、またはおおむね10年以内に市街化を進めていく区域が市街化区域です。
ではなぜこのように区域が定められているのかというと、無秩序に街が市街化していくことを防ぐためです。中でも市街化調整区域が存在する大きな意味は、農地や山林を守るためです。あらゆる場所で市街化を進めてしまうと、これまで農地として利用されてきた場所が住宅や商業地などに変わり、農地や山林はなくなります。農地や山林がなくなるということは自然環境が失われるということです。都市計画においてはそういった事態になることを防ぐために、市街化を進める区域と抑制していく区域を定めているのです。
なお市街化調整区域や市街化区域を含む都市計画は自治体ごとに定められていて、数年に一度区域区分の見直しが行われています。
市街化調整区域かどうか調べる方法
所有している不動産が市街化調整区域にあたるか調べる場合、ほとんどの自治体でホームページにて公開されているため、「自治体名+市街化調整区域」などとインターネット検索することで確認できます。また自治体の窓口に行って確認することもできます。
市街化調整区域の土地の評価とは?
市街化調整区域の土地などを売却したい場合、気になるのは土地の評価についてです。
そもそも一般的に土地の評価(価格)が高くなるのは、利便性が高いいわゆる市街地です。そのため、郊外や田舎に行くほど土地の価格は下がっていきます。市街地のほうが土地の評価が高くなるというのはイメージしやすいかと思いますが、市街化調整区域という区域区分に入ると評価にも変化があるのでしょうか。
上述の通り、市街化調整区域は都市化されない区域です。したがって、都市施設の整備、インフラの整備もあまりされていません。これはそもそも人が住むことを想定していない区域ということもありますが、所有している市街化調整区域の土地を活かすとなった場合には自分でインフラを引く必要があります。また近隣にスーパー・コンビニなど日常生活に必要な施設がない場合もあり、生活の利便性においても不便があるでしょう。
そのため、このようなことを踏まえると一般的に市街化調整区域の土地の評価は低くなるといえるのです。また固定資産税の評価においては近隣の市街化区域と比べた時に2〜3割程度低くなるとされています。
市街化調整区域の不動産の売却が難しいと言われる理由
市街化調整区域の不動産の売却は難しいという話を聞いたことがあるかもしれません。なぜそのように言われるのか、その理由についてご紹介します。
●建物の制限が多い
市街化調整区域では、既存の建物の建て替え、新たに建てる、どちらの場合も自治体に申請し、許可を得る必要があります。リフォームなども同様のため、売却してリフォームすれば誰かが住めるのではと思うかもしれませんが、許可が必要となります。
市街化調整区域で農業や林業、漁業を営む人の住居は開発許可がなくても建てることができます。また以下のケースでは許可を得たうえで、建築が可能となります。
・市街化区域に住んでいる農林漁業を営む人の家族が住宅を建てる
・住宅兼店舗(ただし地域住民にとって有益だと認められる場合)
・既存住宅の建て替え
このように市街化調整区域は建築の際に許可を得る必要があり、買主にとっては負担が大きく、また申請したからといって必ず許可が得られるとは限らないのです。
●インフラが整備されていない、利便性が低い
繰り返しになりますが、市街化調整区域ではインフラ整備も積極的に行われていないことが多いです。そのため、電気・ガス・水道のインフラ整備を所有者自らが行う必要があります。手続きの手間はもちろんですが、インフラを整えるためにかかる費用も自己負担となる可能性があります。加えて、自治体の補助金・助成金を利用できないこともあり得ます。
また、利便性が低いというのも理由の一つです。市街化調整区域にはスーパーやドラッグストア、コンビニなど生活に必要となる施設が近くにない場合が多いといえます。買い物などをする場合には市街地まで行かなければなりません。こういった利便性の低さも売却に影響する要因の一つです。
●住宅ローンが組めない場合がある
市街化調整区域の不動産は、住宅ローンが組めないことがあります。住宅ローンは、ローンの対象となる不動産を担保に貸し付けをしてもらえますが、市街化調整区域の不動産の担保評価額は低いため、ローンを組めない可能性があります。そのため結果として売れにくくなってしまうのです。
市街化調整区域の不動産は売却できる?売却しやすいケースと売却しにくいケース
市街化調整区域であっても売却しやすい不動産と売却しにくい不動産があります。
売却しやすい不動産
まずは売却しやすい不動産からご紹介していきます。
●開発許可を得ている土地
市街化調整区域にあたる場合でも、過去に開発許可を得ている不動産の場合には、用途・規模が同じであれば将来的に建て替えることが可能なため売却しやすくなるといえます。市街化調整区域には、工場や倉庫も多いですが、新たに許可を得なくても良いとなれば価値も高まります。
●開発許可を得られる可能性がある
開発許可を得られる可能性がある土地とは、都市計画法第34条において、市街化区域と隣接・近隣している地域や市街化区域にあるものも含めてだいたい50以上の建物がたてられている場合などは、は都道府県の条例などに基づき開発許可を得られるとされています。
市街化調整区域の場合でも市街化区域に近く隣接しているといった場合には、開発許可をもらえる可能性が高いといえます。開発許可が得られる可能性があれば土地を活用することができるため、売却できる可能性も上がります。
●市街化調整区域になる前に建てられた建物
市街化調整区域になる前に建てられた建物の場合、行政側の都合により後から市街化調整区域として規制がかかっていることになります。この場合も用途・規模が同じであれば建て替えができるため、売却しやすいでしょう。そのため、売却を検討した際には、市街化調整区域の指定前に建てられた建物かどうか、一度確認してみると良いでしょう。ただし市街化調整区域指定前に建てられた場合でも、そのことを証明する証明書などは必要となります。
売却しにくい不動産
売却しにくい不動産としては、以下が挙げられます。
●農地
農地を売却する場合、農家にしか売却できません。とはいえ農家であればすでに土地があるので農家に売却するのは難しい可能性が高いでしょう。
また農地を農地以外の土地へ用途を変更(農地転用)することも考えられますが、この場合も申請して許可を得る必要があります。ただし、農地の売却は規制されており、農地転用するとしても農地法と都市計画法の規制を受けることになるため、売却が難しくなります。
●無許可で建てられた建物
市街化調整区域に無許可で建てられた建物については売却しにくいといえます。市街化調整区域だからといって全てに許可が必要というわけではなく、農家住宅などは許可なく建てられます。一般の住宅などは許可が必要ですが、中には無許可のケースも存在します。万が一無許可だった場合には、建て替えができないため売却しにくくなるのです。
●開発許可が得られない土地
開発許可が得られなければ、建て替えなど土地を活用できず売却しにくくなります。駐車場などとして利用することも考えられますが、売却できても低い価格となってしまうでしょう。
市街化調整区域の不動産売却において確認すべきこと
市街化調整区域の不動産を売却する前に確認しておきたいことがあります。
自治体の区域指定制度の確認
区域指定制度とは、市街化調整区域に含まれている場合でも、自治体が指定している土地であれば住宅や事業所などの建築許可が得られる制度です。区域指定されるための条件は自治体によって異なりますが、市街化区域に隣接しているか、上下水道の整備状況などいくつかの条件があります。自治体のホームページなどで確認できるので、まずはその土地が区域指定されているか確認しておきましょう。
区域指定されていて土地を利用できるとなれば、売却のしやすさも上がります。
土地の地目
土地の地目も必ず確認しておきましょう。土地の地目は、宅地、農地、田、畑など23種類の区分があります。
市街化調整区域に指定される前から地目が、宅地となっている場合には、用途・規模が同じであれば建て替えができるので土地の利用がしやすいため、売却もしやすいでしょう。
一方で、地目が農地の場合、実態のある農家にしか売却できません。また用途を変えるために農地転用する場合もそのハードルは高いといえます。そのため、土地の地目についても確認するようにしましょう。
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松本産業株式会社が運営する『あいちの工場倉庫ならデポラボ』では愛知県内の工場や倉庫を専門として不動産事業を展開しております。長年愛知県豊田市を中心に地域密着の企業として様々な事業に携わって参りました。これまで培った独自のネットワークを最大限活かし工場や倉庫などの事業用・産業用不動産案件の課題解決を図ることで地域経済の更なる発展に貢献して参りたい、そのように考えております。不動産のことでお困りの際はいつでもご相談ください。
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